着床不全

体外受精において、良好な胚を4個以上かつ3回以上移植しても妊娠に至らない場合を『反復着床不全』と定義されています。
当院では良好胚を3回以上移植しても妊娠が成立しない場合には、着床不全の検査を検討することにしています。
子宮内環境が悪いと着床(胚が子宮内膜と接着すること)がうまく行われません。
胚移植を何回か行って良好胚を繰り返して移植しても妊娠に至らない場合、子宮内環境の異常が着床を妨げている可能性があります。
外来受診のうえ医師にご相談ください。

着床不全の原因

着床不全の原因は大きく3つに分類されます。
  • 受精卵(胚)側の問題
  • 子宮内の環境の問題
  • 受精卵を受け入れる母体側の免疫寛容の問題

検査の種類

  • 子宮内膜着床能検査(ERA)
  • 子宮内フローラ検査(Varinos)
  • 慢性子宮内膜炎検査(CE)
    など

子宮内膜着床能検査(ERA)

ERAは子宮内膜が着床に適した状態となる一時的な時期、プロゲステロン開始から約5日後の時点で、子宮内膜に着床能が認められるかどうかを判定する分子生物学的検査です。
この検査方法は、子宮内膜組織における248個の遺伝子についてNGS(次世代シーケンサー)を用いて検査を行い、内膜組織の中にその遺伝子の発現を確認し胚移植に適した時期かを確認するものです。
発現すべき遺伝子が遅れて出現する場合には移植を後にずらす、早く出現する場合には前にずらす、などの治療を行います。

子宮内フローラ検査(Varinos)

子宮内はもともと無菌状態と考えられていましたが、近年子宮内にも細菌が存在していることが分かりました。
子宮や膣内に存在する菌の環境(フローラ)は女性や胎児を感染症から守り妊娠と重要な関わりがあります。

子宮内には、悪玉菌の増殖を抑える善玉菌が住み着いています。
膣内の善玉菌が減り、悪玉菌が増殖してしまうと流産リスクが10倍になることもあります。
また、善玉菌が少ないと着床率が低くなることも分かってきました。
子宮内に住む菌の集まりは『子宮内フローラ』と呼ばれ不妊に関わることも分かっています。

子宮内フローラ検査は、子宮内液を採取して子宮内の菌の種類や割合を調べる検査で、今まで特定できなかった菌もDNAを解析する最先端の機械により何の菌がどのくらいいるのか分かるようになりました。
これにより適切な治療を行うことができ、子宮内の環境を改善できる可能性があるのです。
さらに、子宮体癌や子宮内膜症と関わる菌も発見され、子宮内の菌環境と女性の健康が密接にかかわっている可能性が次々と報告されています。

慢性子宮内膜炎検査(CE)

以前までは子宮鏡検査(HPY)で慢性子宮内膜炎の診断がされていましたが、偽陰性(本当は内膜炎なのに正常と判断される)になることが多く、新たな検査が望まれていました。

当院での検査は、内膜の基底層にある組織を採取してCD138という特殊な免疫染色を行って、内膜組織内に形質細胞が20視野に5個以上あれば、陽性と判断して適切な抗生剤を投与します。
結果は報告までに2週間ほどかかります。

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